滋賀県大津市 医療法人R&S 大津クオーレ歯科クリニック 理事長の田中です。今回は骨が少なく他院でインプラント治療を断られた方の治療について解説します。
症例
主訴・患者様の要望
患者様は60代、男性の方です。
少しわかりにくいかもしれませんが、画像を診て頂くと、歯の根っこが破折して骨吸収がかなり進行しているため、インプラントを成功させるためには、一定の技術が求められます。
患者様からは、
「右上のブリッジが最近外れたので、インプラントを検討したい」
という相談でご予約されていました。

ブリッジが外れており、右上4番目の歯が破折しているのがわかる

右上4番目の歯の歯根破折しており、大きな骨吸収がみられる

舌側(内側)にわずかな骨が残っている

検査・診断
検査の結果、右上の3番目の歯が欠損しており、隣り合う歯を削ってブリッジで補っていましたが、経年劣化により右上4番目の歯の歯根が破折しており、ブリッジが外れてしまっていました。
患者様によると、
「他院で数年前に右上のブリッジ治療を受けたのですが、最近、ブリッジが外れてしまい、一度、他の医院でも診てもらいましたが、再度ブリッジ治療だと他の歯も土台として使わないといけないので、だいぶ歯を削ることになるとのことで、他の治療法としてインプラント治療も考えたが、骨の量が少なくインプラント治療歯難しいと言われたのですが、諦めきれないので、再度探していたら、ここならやってくれそうな気がしたので相談に来ました。」
とおっしゃいました。
インプラント治療は、あごの骨に人工の土台(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療方法です。
このインプラントは欠損治療においては、機能性・安全性・審美性、どれにおいても既存治療の中で一番良いと考えていますが、治療を行う上で骨の量が一定以上必要です。
そのため、一般的な2次元画像のパノラマ撮影だけでなく、3次元画像のCT撮影も行い、骨の量、神経の位置など詳しく検査します。
今回のケースは歯が抜けてからの経過時間が長いことにより骨は減少していました。
インプラントの安定性を確保するため、骨不足箇所に骨補填剤として使われる「GBR法」をご提案しました。この方法によって、インプラントは長期間にわたって維持され、見た目や咬み合わせも改善されます。丁寧に説明し、患者様に同意をいただきました。
治療内容
口を開けた際に目立つ部位ですので、切開する場所は傷跡が目立ちにくいよう慎重に選びました。骨補填剤を追加した部分はコラーゲンの膜(メンブレン)で覆い、骨補填剤が患者様のあごの骨と結合しやすい環境を整えました。その後、骨の再生を待ちます。
CT画像のように大きな骨欠損がみられます

右上3と右上4の2本埋入
右上4は舌側のわずかな骨で固定




しっかりと骨造成することができました




上顎前歯のブリッジもやり直しています。



症例概要
患者情報:60代男性
治療内容:骨造成を伴うインプラント治療
期間:6ヶ月
インプラント治療費:987,000円(税込み)
副作用・リスク:外科手術により、術後数日間、腫脹や疼痛を伴うことがある。